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浪人中バイトをして、DATデッキの次のでかい買い物がこのX3Rでした。最初はQY300を買う予定で楽器屋に足を運んだのですが、ちょうどそのときこのX3Rが手の届く値段で店頭に並んでいたわけです。ほぼ衝動買いに近いかたちで手に入れたはいいものの、あまりに大きい箱のために自転車に乗っけて、それを押しながら家まで炎天下を歩くこと30分。ひたすら疲れました。 なぜ、X3ではなくX3Rなのか、と訊かれると「安いから」と答えるしかなさそうですが、買った当時は入力用の安いキーボードを借りることができたので困らなかったし、ラックのシーケンサといってもいったん慣れてしまえば、使いにくいということはまったくありませんでした。
どこで聞いたか忘れましたが、ローランドやヤマハに比べて、コルグの音はダークでヨーロピアンということらしいです。ヨーロピアンという言葉にはピンときませんが、たしかに若干派手さを押さえた音色であることは頷けます。X3Rの場合はフィルターにレゾナンスが付いてない(同様の効果をもたらすとしてColorというパラメータがあるけれど、耳障りで実用的ではありません)ので、なおさら暗めの音になります。それまでTG-300でレゾナンスにまみれていた私にとっては、レゾナンスに頼らない音作りを修得するためのいいギプスになったのかも知れません。
アナログ時代からのコルグの常として、エフェクターはまずまずの充実ぶり。2系統というのは少ない気もしますが、そこをやりくりするのがまた楽しいわけです。レゾナンスがない代わりに、フィルターを閉じた音にキツめのフランジャーをかけて、モコモコした状態からフィルターを開けたりといったケンイシイの真似もしましたし、かなり倍音を削った音にフェイザーをかけてLFOの谷底辺りで炭酸の泡がはじけるような小さなノイズを発生させたりもしました。あと、シーケンサを走らせながらエフェクトのパラメータにアクセスできるというのが、TRINITYにもできない(後日、バージョンアップで実現されました)X3Rのすごいところで、演奏させながらディストーションのHotSpotとかいうパラメータをツマミで回すとこれがなかなか素晴らしいです。このパラメータはダイナミックモジュレーションを使えばモジュレーションホイールにアサインできて、コントロールチェンジでも変調できるのですが、それよりもあのこぢんまりとしたラフなツマミ(ちゃんと1ずつは変更できない)でゆっくりと動かしたほうが、値の飛ぶつなぎ目に特徴があってずっと面白いです。 LCDに表示できる情報量がたいしたことない割には、シンセもシーケンサも使いやすかったと思います。階層構造は浅くないんですが、どこのページに何があるか覚えてしまえばすぐに望みのパラメータにたどり着けます。シンセは多少操作に難があってもなんとかなるものですが、シーケンサはそうもいきません。その点X3RのシーケンサはLCDの小ささも手伝って表示が早く、かなりのスピードでイベントエディットができます。それになんといってもX3Rのシーケンサのパターンは非常に使い勝手がいいのです。QYシリーズのパターンの概念とは異なり、パターン用のトラックというものはなく、パターンとして製作し登録したデータは、16あるうちのどのトラックにはめ込んでもかまわないようになってます。したがって16トラックすべてをパターンで済ませることもできますし、ひとつのトラックにふつうの演奏データとパターンを混在させることもできます。さらにパターンのデータをふつうの演奏データとしてトラックに焼く(オープンする、という)こともできるのです。パターンのままだと、もちろんデータの浪費を防ぐことになるのだし、同じパターンばかり続いてると感じたら、フィルの1小節か2小節だけオープンして、エディットし直すというのも手です。 突然、上のカーソルキーの手ごたえがなくなったときは、本当に冷や汗が出ました。それからもしばらく使い続けましたが、次第に効きもマズくなっていき、使い物にならなくなる前に買い替えなくてはなりませんでした。思えば若干4年間でしたが、私にはもっともっと長い年月だったように感じられたものです。
(1998.05/29)
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YAMAHA | QY10 |
KORG | SIGNALDELAY |
YAMAHA | QY20 |
ZOOM | STUDIO1202 |
YAMAHA | TG300 |
ASCII | オトッキー |
KORG | X3R |
ENSONIQ | SQR Plus32voice |
KORG | TRINITY |
BIT2 | シンセサウルス |
Roland | MC303 |
YAMAHA | QY10追加分 |
ROCKSTEREO | |
YAMAHA | TX802 |
KORG | TRINITYプレイバックサンプラー |
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